7月29日開催、全体会での座長総括のサマリーを事務局にて取りまとめましたので、ぜひご確認ください。
今回の総括ではBISによる2023年の調査結果として、リテール向けCBDCの関心が、低下する一方でホールセールCBDCへの関心が高まっていることが明らかになったこと、また、BISが提唱する「Unified Ledger」構想が注目されており、これらの国際的な動向が日本においても今後の重要な課題となることが示唆されています。【アーカイブ動画】 【座長総括資料】
CBDCに関する各国中央銀行の関心
- 国際決済銀行(BIS)は毎年、各国の中央銀行を対象にデジタル通貨に関するアンケート調査を行っており、2023年の結果が報告された。調査によると、リテールCBDCに関する中央銀行の関心は2020年以降減少しており、2020年時点で3年以内の発行を目指していた中央銀行は8行でしたが、2023年には3行に減少した。バハマやナイジェリアなど一部の国でリテールCBDCが発行されているが、利用は限られており、特に先進国では銀行預金との競合や技術的課題のため、リテールCBDCの導入は慎重に進められている状況。
出所:国際決済銀行資料より国際通貨研究所作成(https://www.iima.or.jp/docs/column/2024/ei2024.17.pdf)
BISが提唱する "Unified Ledger" 構想
- 一方でホールセールCBDCへの関心は横ばいで、発行を計画する中央銀行は増加している。BISが提唱する"Unified Ledger"構想では、中央銀行デジタル通貨、民間銀行の預金、トークナイズドアセットを共通のプラットフォームで管理し、ブロックチェーン技術と従来のシステムをAPIで連携させ、取引の効率化を図ることが目指されている。
(出所)国際決済銀行 (https://www.bis.org/publ/arpdf/ar2023e3.pdf)
- また、BISやIMFはトークン化預金やスマートコントラクトを活用した新たな金融インフラの構築に注力しており、法的な枠組みの整備も進められている。これにより、デジタルトークンを利用した資産や資金の移転が、中央銀行や民間銀行の既存システムと連携しながら円滑に進むことが期待されている。特にイタリアでは、中央銀行のホールセールCBDCと民間のトークン化預金をシンクロさせるプロジェクトが進行中で、他国でも同様の取り組みが見られる。
- このように、BISやIMFなどの国際機関が進める取り組みは、リテール向けCBDCからホールセールCBDCやトークン化預金へと関心が移りつつある現状を反映しており、こうした技術的な動向や法的枠組みの整備が、日本においても今後重要な課題となることが示唆されている。
詳細についてはアーカイブ動画を是非ご覧ください。