◎開催概要
開催日時:2024年9月12日(木)14:00~16:30
開催方法:対面+オンライン
◎アジェンダ
- 山岡座長講演:内外のデジタル通貨の最新動向について 【アーカイブ動画】
- 各分科会・検討会の活動報告
- ディーカレットDCP商用発表について
- オブザーバーご挨拶
・日本銀行 決済機構局 Fintechセンター長 参事役 小林 俊様
・財務省 理財局国庫課長 兼 デジタル通貨企画官 津田 夏樹様 - 事務連絡
- 座長総括
◎各分科会活動状況のサマリー
地域通貨分科会
TIS株式会社 船瀬様
- 今年度の分科会の方向性を模索する中で、分科会参加企業を対象にアンケートを実施。その結果を踏まえ、具体的なテーマが浮上した企業や、さらに意見を伺いたい企業に声をかけ、意見交換会を開催してテーマの深掘りを行った。
- 意見交換会では、デジタル地域通貨の協調・競争領域を踏まえ、共通化と標準化に重点を置いて議論した。
- 地域通貨の多様な仕様が乱立することで非効率性が生じており、特に全国展開や複数地域に展開する店舗では、各地域通貨の仕様に対応する負担が増加する点が議論された。POSシステムにすべての地域通貨仕様を取り込むのは非現実的である一方、自治体ごとの用途制限などのニーズも満たす必要があり、そのギャップが課題となっている。また、汎用的なポイント事業者が地域限定の仕組みを導入する負担や、共通的なプラットフォームが必要である可能性についても多くの意見が出された。
(参加企業様からのコメント)
・コンビニではタバコなど特定の商品を地域クーポンの対象外にする必要があり、これに対応できる制度面や技術面の課題を克服する必要がある。こうした課題を含めて、地域通貨分科会で協議し、解決策を見出していければと考えている。
・地域通貨の目的は地域活性化にあり、どこでも使えるようになるとその意味が失われてしまう。一方で全国展開する小売業として、特定の地域に対応するシステム投資は採算が合わないという課題もある。どこでも使える一方で、特定の条件や制約を持たせたトークン、例えばタバコは対象外、域外では現金扱いとするような仕組みが導入されれば、より実用的になると考えます。
行政事務分科会
木内様(桜美林大学)
- デジタルファースト、ワンスオンリー、コネクテッド・ワンストップの3つの軸に基づき、DCJPYが行政DXにどのように貢献できるかをテーマにしたパネルディスカッションを7月26日に行った。【アーカイブ動画】
- ディスカッションでは以下の3つの視点を中心に議論。
① 行政予算執行の効率化・透明化
② 多くの関係者をまたぐ行政事務フローのデジタル完結
③ 「コネクテッド・ワンストップ」、究極の「プッシュ型」行政サービスの提供 - パネルディスカッションで得られた知見をもとに、3つのユースケースにまとめ、今後それらを検討して実装に進めていきたいと考えている。
電力取引分科会
(関西電力株式会社 石田様)
- 今年度の方向性としては、環境価値のトークン化を検討し、環境価値取引のビジネスをさらに深め、どのようなユースケースで実現できるかを模索している状況。
- 環境価値や電力の取引を、1対1にとどまらず、マッチやエリア、シティといった広がりを持たせた形で進め、トークン化された環境価値をDCJPYで決済することで新たな価値を創出できる可能性を検討していく。
インボイスチェーン分科会
(株式会社オービックビジネスコンサルタント 日野様)
- 第1~3回までの取り組みの振り返りとして、まず目指すべきゴールを定義し、現状を把握した上で、それに向けて課題を解決していくというプロセスを進めた。
- 目指すべきゴールとして、企業の取引における受発注、決済、会計の3つの流れをDCJPYネットワークでデジタル自動化するインフラを構築し、企業がその効果を実感できることを強く意識し、ゴールを設定。
- DCJPYネットワークを活用するアイデアとして、EDI取引データをDCJPYプラットフォームに統合し、取引データを決済や会計まで一気通貫でつなげることで、支払いや入金の消込の自動化を促進する可能性が示された。
- 特に、EDI未使用企業に対しては、インボイス制度を活用し、デジタルインボイスから導入を開始することが現実的だという意見が出された。
- 最終的には、各企業が利用する会計システムとも連携し、会計仕訳データの自動化を目指す構想を描いている。
(株式会社ミロク情報サービス 平子様)
- 第4回の分科会では、EDIの現状と課題に基づき、業界ごとのEDIサービスや紙・FAXでの取引にどう対応するかについて議論を実施。
- 3つの業務領域(請求書や受発注、会計システムでの債権債務の認識、資金決済)を網羅する共通データフォーマットを構築し、DCJPYと連携させて取引全体を自動化・効率化することを検討。
- EDI未使用の企業や紙ベースでの取引にも対応できる仕組みを整備し、特に債権債務の消し込み業務の効率化を目指す。
- 現在、インボイスチェーンの機能範囲とデータフォーマットの基本案を策定中で、次回以降の分科会に向けて進行中。
(片岡総合法律事務所 佐野先生)
決済送金のリーガルアドバイスをさせていただく機会が増えている。特に最近ではまさにこの決済送金ブロックチェーンで何かできるかということが非常に多い。先程、山岡座長からユニファイドレッジャーの話があったと思うが、この二層構造の基盤は、実はブロックチェーン決済送金サービスのひとつの解だと思う。決済送金と商流のところが、これまで全く連動してこなかったのは非常に問題意識として強いところがある。一方でこの部分が連動するとハンドリングコスト削減や自動化に貢献すると考えている。
精算トークンを活用することで、月次締めが決済と同時に行える点も興味深く、DCJPYのインボイスチェーンへの活用はその好例だと感じており、引き続き情報を追っていきたい。
Web3.0におけるDCJPYによる新EC決済方式検討会
(ソニーペイメントサービス株式会社 寺岡様)
- 検討会では、チケット流通におけるPoC実施を計画しており、デジタル通貨フォーラム全体会をチケット制にして検証を行うことを検討している。
- チケット流通の課題として、偽造や不正転売、主催者への利益還元の不足が挙げられている。
DCJPYを使用することで、トレーサビリティでチケットの真正性を保証し、プログラマビリティで転売条件を制御し、スマートコントラクトを通じて利益還元を実現することが可能だと考えている。 - DCJPYで提供できる価値として、取引先の信用リスクの排除や売買ルールの設定による決済と送金先の制限、安全で信頼性の高い取引が実現できると考えている。
- また、条件付き自動送金でバックオフィスのDXが進み、取引履歴のトレースによりチケットの真贋性も簡単に判別できると見込んでいる。
(検討会参加企業様からのコメント)
・プライマリーマーケットの決済は成熟しているものの、セカンダリーマーケット(二次流通)はまだ健全化が進んでおらず、高額転売などの問題が残っている。このため、プライマリーマーケットにも一部制約がかかっていると思われる。ブロックチェーンやDCJPYのトレーサビリティとプログラマビリティを活用することで、関係者全体にとって、健全で公正、かつ効率的な取引環境が実現した世界観を創造しながら進めていきたい。
・今回テーマとして取り上げている電子チケットは、決済との流動性に大きな可能性を秘めていると思う。価値権利の商流や流通に着目すると、やはり不正や転売の課題に対応する必要がある。Web3.0やDCJPYの決済を通じて、信頼性や安全性を確保するビジネスモデルを検討中で、PoCに向けてユースケースや機能を整理しつつ、皆様のアイデアやコメントを取り入れながら進めていきたいと考えている。
◎山岡座長講演:内外のデジタル通貨の最新動向について
◎関連資料・参考リンク
第32回全体会資料 : 【全体会資料フルバージョン】
第32回全体会議事録 : 【議事録】