P2P電力取引プラットフォーム構築実証事業を開始
次世代電力システムにおけるP2P電力取引プラットフォーム構築実証事業を開始
~ブロックチェーンを活用した環境価値トークンを発行、RE100企業※1の新たな再生可能エネルギー取引スキームを検証~
KDDIグループのエナリスとauフィナンシャルホールディングス、auペイメントはディーカレットとともに、小売電気事業者(以下、新電力)が広く利用できるP2P電力取引プラットフォームの社会実装を目指し、電力および環境価値のP2P取引事業成立要因を検証する実証事業を共同で開始しました。
今回の実証事業はエナリスが東京都に採択された事業※2の一環として実施しているもので、エナリスの「ブロックチェーン上で電力取引を管理するプラットフォーム」でトラッキングされた電力取引結果に基づき、ディーカレットの「ブロックチェーン上でデジタル通貨を発行・管理するプラットフォーム」で環境価値トークン※3の発行、管理を行います。これにより将来的なP2P電力取引スキームにおけるトークン活用実用化に向けた課題の洗い出しを行います。
エナリス、auフィナンシャルホールディングス、auペイメントおよびディーカレットは、本実証事業を通して、「スマート東京」の実現に貢献するとともに、ブロックチェーンやスマートコントラクト等のテクノロジーを通じて電力業界のデジタル通貨活用を進めてまいります。
■実証事業の背景
- エナリスは自社の新電力向けサービス(需給管理オペレーション支援等)基盤を用い、ブロックチェーンを活用して電力のP2P取引をはじめ、多くの新電力が新たな電力ビジネスに挑戦できるプラットフォーム構築を目指しています。
- KDDI、auフィナンシャルグループは、スマホ・セントリックな決済・金融体験を提供する「スマートマネー構想」の実現に向けて、フィンテックを活用した新サービスの研究を進めています。KDDIは2019年7月にディーカレットへ出資し、今回の実証事業は「デジタル通貨ビジネスの推進および新たな顧客体験価値の創出」を目的として2020年2月に実施したディーカレットとの実証実験※4に続く取り組みとなります。
■実証事業の概要
1.実施内容
- エナリスが卒FITプロシューマーから環境価値が含まれた電力を調達し、真に再エネ価値を求めるRE100企業へ電力とともに環境価値を供給します。
- auフィナンシャルホールディングスの子会社かつ資金移動業登録業者であるauペイメントが、実証事業用の環境価値トークンを発行し、発行されたトークンをエナリスがRE100企業に配布します。
- RE100企業は卒FITプロシューマーから譲渡された再生可能エネルギーの環境価値に対する謝礼として、環境価値トークンを譲渡します。
- 実証事業終了後、卒FITプロシューマーは提供した環境価値の謝礼として受け取るauペイメント発行のau PAY残高を幅広く決済に利用することができます。
- ディーカレットは自社で構築した「ブロックチェーン上でデジタル通貨を発行・管理するプラットフォーム」を活用し、環境価値トークンの発行、流通、償却を行います。
- 実施期間:2020年11月20日~2021年2月末
2.検証内容
- 環境価値に対するトークンでの謝礼譲渡
「卒FIT電力に含まれる環境価値」および「太陽光発電自家消費分の環境価値」への謝礼支払手段としてのトークン活用の課題を洗い出す。
- 現行制度に基づいたP2P電力取引の検証
エナリスの持つ小売電気事業に関する豊富なノウハウを活かして現行の電気事業法に準拠した形態でP2P取引を行い、業務上・制度上の課題を検証する。
- 非FIT電源とRE100企業需要家が実際に取引に参加する実証
手軽に集められるFIT電源を利用せず、非FIT電源(卒FITプロシューマー)から環境価値が付与された電力を調達し、真に再エネ価値を求めるRE100企業へ供給するスキームの検証。
■各社役割
- エナリス
ブロックチェーンを活用した卒FIT電力および環境価値の調達と供給
auペイメントへの環境価値トークンの発行依頼
RE100準拠電力および環境価値取引の実績に基づき発行された環境価値トークンの流通
- auフィナンシャルホールディングス
プロジェクト全体のコーディネート、au PAY活用
- auペイメント
資金移動業者の登録に基づき実証事業で利用する環境価値トークンの発行
本検証の終了時には発行したトークンを償却、プロシューマーのau PAY残高譲渡
- ディーカレット
環境価値トークンの発行・管理を可能とするプラットフォーム提供
■エナリスのP2P電力取引プラットフォームの特徴
エナリスは、より豊かな社会の実現につながる新しいエネルギーシステムの構築を目指し、2017年からブロックチェーンを使った実証事業に取り組んできました。2019年には、電力のトラッキングを可能にし、セキュアかつオープンに電力取引を行うブロックチェーンプラットフォームを開発。同じく2019年から開発した分散型エネルギーマネジメントシステム(DERMS)と統合し、分散型エネルギーの制御と余剰電力の取引ができる仕組みの構築に取り組んでいます。
また、今回の実証では、P2P電力取引による小売電気事業者側のメリットを検証し、現在の電気事業法下で実現可能な電力と環境価値のP2P取引システムを構築します。
■ ディーカレットのデジタル通貨プラットフォームの特徴
ディーカレットが構築している「ブロックチェーン上でデジタル通貨を発行・管理するプラットフォーム」は、利用企業がご自身のブランドでデジタル通貨を発行可能な機能を備え、スマートコントラクトを利用した処理の実装も可能です。また、取引にまつわる一連のプロセスを効率化し、少額のお金のやり取りもリアルタイムに実現します。
これにより、ダイナミックプライシングやリアルタイム決済といったブロックチェーンの特性を活かした幅広いサービスの展開を支援します。
今後、ディーカレットはデジタル通貨プラットフォームの事業化により、地域通貨やユーティリティトークンをはじめ様々なデジタルバリューの発行・流通交換サービス、既存の決済サービスへの価値移転など、デジタル通貨による利便性の高いサービスを提供してまいります。
※1:企業が事業の使用電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目指す国際的なイニシアティブ本リリース内では、RE100加盟企業を「RE100企業」と記載
※2:令和2年度 次世代電力システムにおけるP2P電力取引プラットフォーム構築実証事業
(https://www.eneres.co.jp/news/release/20200730.html 参照)
※3:ブロックチェーン技術を利用して発行されたデジタル資産
※4:ブロックチェーン上に発行したデジタル通貨の処理を自動化する検証を実施
(https://www.decurret.com/assets/news/2020/02/pr_20200218_verify_release.pdf 参照)
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