会津若松市におけるデジタル通貨を活用した実証実験について
株式会社ディーカレットDCP(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:村林 聡)は、事務局を務めるデジタル通貨フォーラムの地域通貨分科会(注)において、会津若松地域の事業者および金融機関のご協力の下、デジタル通貨を活用した支払いや精算にかかる実証実験を行います。
具体的には、地元スーパーマーケットにて行われている、地域通貨「会津コイン」を活用し購買データを健康促進に役立てる事業において、会津コインと連携してデジタル通貨「DCJPY」(仮称)を活用した資金精算を行います。また、農業事業者と地域内のレストラン等との間で直接流通を実現するサービス「ジモノミッケ!®」*1の取引で生じる請求額についても、同様に「DCJPY」を用いて資金精算を行います。
これら地域の事業者が参加するユースケースを通じて、デジタル通貨の有用性の確認や実用化に向けた課題抽出を行います。特に本実証実験には、デジタル通貨実用化の際に発行主体として想定される地域金融機関として、AiCTコンソーシアム*2の会員であるみずほ銀行会津支店、東邦銀行、会津信用金庫、会津商工信用組合に加え、ゆうちょ銀行が参加されます。金融機関における業務の検証、新たな金融サービスを検討する契機となることが期待されます。
(注)デジタル通貨フォーラムは100以上の企業・団体と有識者、関係省庁により構成、デジタル通貨の実用化を見据えてユースケースの検討を行っており、その中にあって地域通貨分科会はデジタル通貨による地域課題の解決・地域活性化を目指し活動しています。本実証実験には同分科会から、株式会社インターネットイニシアティブ、株式会社九州フィナンシャルグループ、一般社団法人AiCTコンソーシアム、SocioFuture株式会社、TIS株式会社、西日本旅客鉄道株式会社、株式会社三井住友銀行、株式会社ゆうちょ銀行、株式会社りそな銀行、が参加、必要な支援を行うと共に知見を共有しています。
■実証実験の背景
当分科会が実現を目指すデジタル地域通貨は、市民、地域の事業者、自治体、地域金融機関等、地域に根差す当事者がシームレスにつながることにより、地域経済の活性化や共助を促す仕組みです。
2021年度に当分科会が実施した子育て給付クーポンに関する実証実験*3は、模擬的な利用者や店舗にて行いました。本実証実験は、今後の社会実装に向け実際に市民や事業者の皆様にご参加いただくことで、より利用者目線での課題の抽出や、事業者による活用、新たなサービスの創出に繋がることが期待されます。
また、利用者にとっては給付金等を即時に受け取れたり、事業者はキャッシュレスの立替金や事業取引の精算を即時でおこなえるため、資金繰りが良くなるなどのメリットがあります。
■実証実験の概要
【実証実験1:購買データを用いた健康事業におけるデジタル通貨の活用】
会津若松市内で利用開始されている地域通貨「会津コイン」を購買インセンティブとして、スーパーマーケットでの購買データにより健康アドバイスを行う事業において、会津コインの付与主体とスーパーマーケット事業者間での精算を、デジタル通貨「DCJPY」の移転により行います。
日時 2023年3月3日(金)~3月16日(木)の期間中の1日
場所 スマートシティAiCT、ヨークベニマル本部、および金融機関事業所
- ヨークベニマルで利用された地域通貨「会津コイン」の金額をAiCTコンソーシアムが集計。
- AiCTコンソーシアムはデジタル通貨での精算額をTISの提供する「ID決済プラットフォーム」を活用し、ヨークベニマル本部へ移転指示。
- ヨークベニマルはディーカレットDCPが提供する「共通領域アプリ」を用いて、デジタル通貨を金融機関口座へ移動指示。
- 金融機関にて、ディーカレットDCPが提供する「二層構造デジタル通貨プラットフォーム」の銀行管理画面を用いてデジタル通貨「DCJPY」から円口座へ資金移動を実施し、資金精算が完了。
【実証実験2:食農マッチングサービスにおける事業者間決済へのデジタル通貨活用】
農産物需給情報のマッチングプラットフォーム「ジモノミッケ!®」上で行われる、農家などの生産者と、地域の旅館やレストランなど実需者との取引で生じる、事業者間の決済をデジタル通貨「DCJPY」の移転によって行います。
日時 2023年3月3日(金)~3月16日(木)の期間中の1日
場所 スマートシティAiCT、および金融機関事業所
- 凸版印刷の提供する「ジモノミッケ!®」で取引された金額を会津版ジモノミッケ!運営者(仲卸事業者:会津中央青果)が集計
- 会津版ジモノミッケ!運営者が実需者(あゆむカフェ)へ請求額を通知し、実需者がデジタル通貨での精算額をTISの提供する「ID決済プラットフォーム」を活用し、会津版ジモノミッケ!運営者へ移転指示。または生産者(AIZU NOTE)への精算金額も同様に生産者へ移転指示。
- 会津版ジモノミッケ!運営者は移転情報を受け取り、同システムを用いて会津コイン残高をデジタル通貨へ振替。同様に生産者についても、受け取った移転金額をデジタル通貨へ振替。
- 会津版ジモノミッケ!運営者や、および生産者はディーカレットDCPが提供する「共通領域アプリ」を用いて、デジタル通貨を金融機関口座へ移動指示
- 金融機関にてディーカレットDCPが提供する二層構造デジタル通貨プラットフォームの銀行管理画面を用いてデジタル通貨「DCJPY」から円口座へ資金移動を実施し、資金精算が完了。
上記いずれの実証実験においても、AiCTコンソーシアムの会員であるみずほ銀行会津支店、東邦銀行、会津信用金庫、会津商工信用組合に加え、ゆうちょ銀行がデジタル通貨の発行金融機関として参加します。
<実証実験の通貨とデータの流れ>
*1 ジモノミッケ!®
凸版印刷株式会社が開発した、農産物の生産者と、宿泊施設や介護施設、飲食店など地域の顧客(実需者)を専用アプリでつなぎ、生産情報と需要情報をマッチングするプラットフォーム
*2 一般社団法人AiCTコンソーシアム
AiCTコンソーシアムは、オプトインによるデータ活用とパーソナライズによる市民中心のスマートシティ実現に向け、国内外の有力企業、会津地域の企業や団体など、約90の会員企業・団体で構成されているコンソーシアムです。2011 年に会津若松市・会津大学・アクセンチュアの産学官連携で始まった、東日本大震災からの復興に向けた取り組みを端緒として、先進的なスマートシティの取り組みが進み、多数の企業が会津若松市に集積したことを受けて、2021年に設立されました。会員企業・団体は、スマートシティのデータ連携基盤となる都市OSを軸に、ヘルスケア、防災、データ利活用、ものづくり、エネルギー、教育、食・農、地域活性化、観光、行政、決済、モビリティインフラ、スマートホーム、サーキュラーエコノミー領域など、幅広い分野のスマートシティサービスを、組織の枠を超えて開発、運用しています。本コンソーシアムでは、会津地域で10年以上をかけて培われた知見、プラットフォーム、ネットワークをもとに、会津における地域DX(デジタル変革)を目指すとともに、日本のあるべきスマートシティのモデルとして全国に発信しています。
*3 2021年度に地域通貨分科会が実施した子育て給付クーポンに関する実証実験
会津若松市および一般社団法人AiCTコンソーシアム発表の下記プレスリリースを参照ください。
https://www.aict.or.jp/blog/368b3ccb37e